Contents
トパーズはブルーだけじゃない
街中の宝石店やアクセサリー店、さらにネット通販では、ブルー・トパーズがたくさん見られます。ブルー・トパーズは美しく、手頃な価格から人気のアイテムです。
天然に産出するブルー・トパーズは、比較的薄い色で希少性が高いものです。現実には濃い色のブルー・トパーズがたくさん販売されています。
不思議なことですが、次のような大発見があったことに原因しています。無色透明なトパーズ(カラーレス・トパーズ)に放射線を照射した後に加熱処理を行うと、ブルー(青色)になる、ということが判ったのです。
カラーレス・トパーズは比較的多くの国(例えば、スリランカなど)で産出します。日本も産出国のひとつに挙げられています。外国の宝石書籍には、トパーズの産出国として「JAPAN(日本)」が記載されています。
最近では、トパーズと言えば、ブルー(青色)を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、ブルー・トパーズが大量に出回る以前は黄色が主流でした。トパーズの日本名(和名)は黄玉(こうぎょく)と呼ばれ、やはり黄色が代表的でした。
トパーズの色は多彩です。黄色、橙色、ピンク色、赤色、淡青色、褐色、そして無色で産出します。多彩なトパーズの中で最も高価な色のトパーズは、インペリアル・トパーズです。赤色味を帯びた橙色から赤色味を帯びた褐色です。シェリー酒の色に近いトパーズが最高の評価です。
ブルー以外のトパーズは、長細いカットが多い
宝石の価格は、同じ種類であれば、大きさ、色、透明性に影響されます。大きさについて、一般論として宝石の価格は大きさの2乗に比例します。
ですから、カッター(宝石研磨工)は原石から出来る限り大きいルース(裸石)に仕上げようと工夫します。
トパーズの原石は長柱状で産出することが多いです。イメージとしては、長い柱のような形状です。長柱状の形から、出来る限り大きいルースにするには、細く長くまたは太く長くカットすることが合理的です。
ブルー・トパーズはどうしていろいろなカタチがあるのか
ブルー・トパーズについて、カットの形は他の色のトパーズと基本的には同じですが、少し背景が異なり、多種多様な形が市販されています。その背景とは、美しいブルー・トパーズが大量に生産されていることです。
カラーレス・トパーズの原石に放射線を照射し、加熱処理するとブルーに改変することが発見され、世界中に大量にブルー・トパーズが出回るようになりました。比較的安い価格で消費者に届くようになりました。
ブルー・トパーズの色の濃淡は、放射線を照射する時間でコントロールができます。市中に出回っている色はかなり濃い目が多いです。アクアマリンのブルーと比較すると、ブルー・トパーズのブルーは圧倒的に目立ちます。
ブルー・トパーズはどのような形に仕上げても、色の濃さで存在感があります。小さくても目を引きます。
トパーズは実は割れやすい
トパーズの原石(右写真)は長柱状の形をしています。その長柱に対して直角方向から衝撃を加えると、比較的割れ易い性質、劈開を持っています。
そこで、カッター(研磨工)はトパーズのルースが劈開を起こさないように原石の切断に工夫をこらしています。
トパーズの劈開は、原石を観察するときにしばしば見られます。
長柱状のトパーズ原石の片側端面は、長柱面に直角で、比較的平滑な面をしています。これは劈開によって生じた劈開面です。
原石の断面はひし形
トパーズの原石は一般に長柱状で産出します。その長柱を真上から観察すると、不思議な形に気付きます。菱形の外形をしているのです。トパーズの断面は菱形です。
初めて見る宝石の原石が何であるかを判定するとき、断面の形状を観察することは重要です。例えば、断面が三角形であれば、トルマリンの原石と判定できます。同様に断面の形が菱形であれば、トパーズの原石と判定できます。
宝石の原石を切り出してルース(裸石)に仕上げるとき、カッターは市場で高価格になるように工夫します。大きさ、色、透明性が価格に大きな影響を及ぼします。
トパーズの原石は一般に長柱状の形です。ですから、インペリアル・トパーズなどにおいては、長方形、長楕円、長いティア・ドロップなどの形に仕上げることが多いです。