色々なカラーのガーネットが見られますが、皆さんは青いガーネットがあるのをご存知でしょうか?今回はまさかのブルーに輝くレア中のレア、ベキリーブルーガーネットをご紹介していきたいと思います。
一言で語りつくせないガーネットの魅力、あなたは今夜ブルーガーネットの虜になるはず!
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ベキリーブルーガーネットとは?その特徴に迫る
パイロープ、アルマンダイト、スペサルタイト、グロシュラライトにアンドラダイト……ガーネットは化学組成の違いによって、様々な鉱物に分かれます。
でもベキリーブルーガーネットなんて聞いたこともない、そんな方がほとんどでしょう。
ここではそんなレアなガーネット、ベキリーブルーガーネットについて解説していきたいと思うので、ぜひ最後までお読みください。
青いガーネット!その秘密はカラーチェンジにあり
ガーネットは赤、オレンジ、イエローにグリーンなどそれは多種多様な色合いを呈し、一方通行にならない面白みを与えてくれる鉱物として愛されてきました。ノアの箱舟の船内を照らし、ユダヤの高層の胸当てにも使われたガーネット、それらはどれも深紅の石であり、決して紺碧の青ではありません。
青いガーネットと聞くと、どこぞの文学作品かしら?と思ってしまいますが、実際青いガーネットは然りとこの世に存在し、それをベキリーブルーガーネットと呼びます。このネーミングはマダガスカルのベキリー鉱山から取られました。
ベキリーブルーガーネットは青緑~赤緑系にカラーチェンジすることで知られており、わかりやすく例えるならばアレキサンドライトのようなカラーを見せる大変美しい変色効果を持つガーネットです。変色効果がある宝石はサファイア、トルマリンやフローライトなどで見られますが、その中でもベキリーブルーガーネットはギラギラのわかりやすいカラーチェンジを見せることでも知られています。
鉱物学的な特徴は他のガーネットと大きく異なりませんが、針状結晶を内包することが多く、肉眼でもそれらを確認することが可能です。モース硬度も7程度とジュエリー加工するには耐えうる強度を誇る為、他のガーネット種と共に様々なジュエリーにセットされています。
ただしベキリー地区でしか採掘されないこと、ブローローズを思わせるそのシックな色合いが起爆剤となり、現在ではジェムフェアーなど限られた場所でしか見られない非常にレアなガーネットとして知られています。
ベキリーブルーはもう採掘されない!?既に枯渇の噂の真相
太陽光ではちょっぴりエレガントなピンキッシュグリーン、オフィスに自宅の白熱光では落ち着いたディープブルー。女性が装いを変えてファッションを楽しむように、ベルキーブルーガーネットも光源を変えることで、アグレッシブなカラーチェンジを見せてくれます。
ガーネットの中ではレアな異端児的存在ですが、実はマダガスカルのベルキー鉱山でもその産出は既に枯渇してしまったと言われており、私たちが目にし手にすることができるものは、いわゆる還流ルース。人の手を渡りに渡ったルースがジェムショー、ディーラー、小売店を経由して流通しているのです。
その為その市場価格はやはり高額であり、これからよりその価値を高めていくと予想されます。またベキリーブルーとは異なる茶色を地色にしたカラーチェンジガーネットは比較的多く見かけますが、その地味は発色がゆえにアレキサンドに例えられるベキリーブルーガーネットより人気も価値も劣ります。
ただし個体によってその呈する色合い、カラーチェンジも随分異なるので、一度ベキリーブルー、その他のカラーチェンジガーネットを見比べてみるのも面白いかもしれませんね!
ベキリーブルーガーネットVS幻のレインボーガーネット
前項では非常に珍しい青いガーネットについてお話をしてみました。今までのガーネットの概念を覆すかのような変色効果が美しいベキリーブルーガーネット。しかしベキリーブルーガーネットと肩を並べる珍しいガーネットがあるのをご存知でしょうか?
ここではそんな幻のガーネット、レインボーガーネットについてもご紹介しきたいと思います。
レインボ―ガーネットとは?
レインボーガーネットとは、そのネーミングの通り、まるで虹を閉じ込めたかのような視覚効果があるガーネットの一種です。宝石表面がレインボーに輝く現象は、イリデッセンスと呼びますが、含有元素が違うガーネットがそれぞれ異なる屈折率を持つことが原因で発生します。
つまり幾層にも重なったガーネットが異なる屈折率で光を反射することで、この特徴的なレインボーカラーが生まれるのです。決して結晶内の傷や割れに光が反射して虹色に光わけではありません。
パッと見た感じではガーネットらしくない地味なブラウンカラーに見えますが、見る角度によってコロコロと虹色が遊ぶその姿は幻想的で、まさに「惹き込まれる」そんな形容がピッタリの輝きを見せてくれます。
レアガーネットが日本でも産出されているって知ってる?
このレインボーガーネットが産出される国は非常に限局的でメキシコ、アメリカそして日本でしか産出されません。
日本でも大きな話題を呼びましたが、奈良県天川村で産出され、その正体は分散光が強いアンドラダイトガーネットだと判明しています。有名なメキシコ産のものはアンドラダイトとグロッシュラーガーネットの結晶で構成されており、同じレインボーガーネットでもその組成は異なっているのです。
宝石愛好家がこぞってレインボーガーネット目当てで奈良県に訪れたこともありましたが、現在は自然保護の為に一切の採掘活動が禁止されていますが、それでも天川産の原石やルースは少ないながらも流通しています。
ジェムクオリティーのものは基本的に大きめのファセットにカットされることが多く、独特な鈍い輝きに思わず目が奪われてしまいます。スタンダードなガーネットではありませんが、ちょっとオリジナリティー溢れるメタリックジェムとして大人気。前述のベキリーブルーガーネットと比べても比較的手の届きやすい価格帯なので、気になる方はぜひコレクションしてみてはいかがでしょうか?
まとめ
まさかのブルーカラーのガーネット、ベキリーブルーガーネットという存在自体、知らなかったという方がほとんどだと思います。深紅のガーネットとは異なるカラーチェンジが美しい、非常にレアでなかなか市場に出ないガーネット……。
そのダークブルーの落ち着いた色合いは、女性だけでなく男性にも楽しめるカラーとなっているので、ぜひメンズの方々にも愛でてほしいガーネットの一つと言えます。
ルースとして、またはジュエリーに加工されているベキリーブルーガーネットは限られていますが、機会があればぜひその手にとり妖しいレアガーネットの魅力に浸ってみてはいかがでしょうか?