レアストーンの中のレアストーン、今回は超人気を誇るあのアレキサンドライトについてご紹介してみたいと思います。名前は知っているけど、いまいちその宝石としての特徴は分からないという方に必見の内容になっているので、ぜひアレキデビューをする前に熟読していただければ幸いです。
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皇帝の宝石の秘密!なぜアレキサンドライトは異なる色相を見せるの?
アレキサンドライト、意外とこの宝石を知っている方は多いと思います。緑から赤紫色にカラーチェンジする、あの有名な宝石ですね。
ここではそんなアレキサンドライトの特徴と、その性質について解説していきたいと思います。
アレキサンドライトってなんだっけ!その鉱物学的特徴について
アレキサンドライトはクリソベリルという鉱物種の中1つで、その原石が呈する性質によって異なる宝石に別れます。まず最初は薄いレモン~オリーブ色が美しいクリソベリル。ブラジルから多く産出され、その宗主国であったポルトガルでもクリソベリルジュエリーを多く見かけます。
残りの二つは我らがアレキサンドライトとキャッツアイです。まるで猫の目を覗き込んでいるかのようなキャッツアイが、アレキサンドライトと懐を分かち合う親戚関係だったとは驚きですね。
この異なる3つの宝石の中でも特に産出量が少ないのがアレキサンドライトで、その歴史はあまり深くありません。アレキサンドライトはロシアで初めて産出された宝石で、1830年にウラル地方で発見されました。なお現在はロシア以外にもブラジル、スリランカでも産出されています。
命名にはその当時の皇帝アレクサンドル2世から取られ、アレキサンドライトという神々しい名前を頂戴したのでした。
アレキサンドライトは光源によって、異なる色を見せることが一番の特徴です。アレキサンドライトのような性質を見せる宝石は多くなく、今では世界5大宝石の1つとしてその名声を頑固なものにしているのです。
アレキサンドライトの代名詞!カラーチェンジの理由
アレキサンドライトはその勇ましいネーミングも人気の一つで、その石言葉は「秘めた思い」。何とも言えない素敵な石言葉を持つアレキサンドライトですが、なぜ独特のカラーチェンジを見せるのか?に疑問を抱く方は少なくないはず。
アレキサンドライトの変色効果の秘密は、付加されているクロムにあります。通常のクリソベリルはアルミニウムとベリリウムの酸化物で構成されていますが、そこにクロムが付加することで独特の多色性を見せるのです。
アレキサンドライトの多色性は自然光では緑、白熱光の下では赤紫~ピンクの色合いを呈するようになります。ただし産地によってその変色は若干異なり、スリランカ産の物は白熱光で呈する色は、赤というよりも茶褐色に近いカラーです。
基本的にアレキサンドライトは加熱や放射線による人工処理が行われることはありませんが、言うまでもなく内包物が少なくより透明度が高い物が高額で取引されます。
なお最も美しいアレキサンドライトはロシア産ですが、清水の舞台から何度も飛び降りる覚悟がないと手が届かない値段の物が多く、最近はブラジル産の高品質アレキサンドライトに人気がシフトしてきています。
レア度120%!アレキサンドライトキャッツアイとは?
アレキサンドライトはモース硬度が8.5と高いので、非常に安定した耐久力を誇るので、様々なジュエリーに加工可能でデイリーユースにもピッタリ!朝の陽光、オフィスの白熱光で異なるカラーを見せてくれる二面性は、オリジナリティーをジュエリーに追求したい女性に大きな支持を得ています。
ただでさえレアなアレキサンドライトですが、カボションカットに研磨すると、しばしキャッツアイに見られる、一筋の筋が浮かび上がるキャッツアイ効果(シャトヤンシーと呼びます)を呈するものがあります。
これをアレキサンドライトキャッツアイと呼び、緑と赤紫の多色性だけでなく、キャッツアイに見られる一条の筋を楽しむことができます。
ただしアレキサンドライトのような複雑なファセットを持つカットはできないこと、そして通常のアレキサンドライトに比べて透明度が若干落ちる点は否めませんが、非常にレアな宝石として知られているので、特にルースラバーの方の心をくすぐる眉唾物の宝石として人気を集めているのです。
カラーチェンジガーネットとアレキサンドライト
アレキサンドライトと非常に似ている性質を持つ宝石があります。そうそれこそがカラーバリエーションに富んだガーネットのことです。
1970年代から産出されていたカラーチェンジガーネットは、スペサルタイトガーネット、パイロープガーネットの固溶体の事で、自然光の中で青~紫、白熱光の中では赤~オレンジ色を呈するなど、その多色性はアレキサンドライトに非常に似ています。
このカラーチェンジガーネットもアレキサンドライト同様にレアストーンとして認識されており、市場に出ることは少なく、高価で取引される宝石として知られています。
Pt900 アレキサンドライト 0.2ct 一粒ピアス
アレキサンドライト購入時に留意しておきたいポイントとは?
ここではアレキサンドライトを購入する上で覚えておいてほしいことをいくつかお話していきたいので、ぜひアレキ選びの参考にしてみてくださいね!
カラーチェンジの強さを意識して産地別のカラーを楽しもう
6月の誕生石として知られるアレキサンドライト、色の変化を楽しめるちょっぴり高貴な宝石です。この特殊な宝石選びのコツとして言えるのが、カラットよりもいかにクラリティーに優れ、色の変化に富んだ物を選べるかどうか!
大きなインクルージョンこそ少ないものの、色の変化が少なかったり、くすんだカラーの物は高品質とは言えません。
前項で述べた通りロシア、スリランカ、ブラジルといった産地でそのカラーリングも異なります。そのためサファイア、ピンクトパーズのような色合いを楽しみたい場合はロシア、ブラジル産を、グリーンジルコン(モルダバイト)のような深い緑とシトリンの橙というシックな色合いを楽しみたい場合はスリランカ産の物を選びましょう。
人工アレキサンドライトが潜りこむことも!
天然のアレキサンドライトが非常に少ないことから、ラボで作られた人工アレキサンドライトがジュエリーに加工されることも少なくありません。天然のアレキサンドライトと同じ性質、特性を持つ人工アレキサンドライトは、天然物に比べても見劣りのしない美しさを誇りますが、値段はグンと抑えられるので高カラットのアレキサンドライトを楽しむことも可能です。
ただし最近はアレキサンドライトの性質を模した、化学的・物理的性質異なるカラーガラスの人造宝石も登場していきているので、混同しないように注意しましょう!
Pt900 アレキサンドライト一粒ピアス
まとめ
やっぱりカラーチェンジという特異性は、アレキサンドライト一番の落としどころ!世界5大宝石にも数えられるアレキサンドライト=超高級ラインの手が届かない宝石と認識している方もいると思いますが、実はカラットの小さなものはそれこそちょっとお小遣いをためれば購入できる宝石なんです。
いつものブルー、グリーンにレッドの貴石にちょっと飽きてしまった、という方はアレキサンドライトのカラーチェンジという二面性の魅力に、どっぷりはまってみてはいかがでしょうか?