無色透明の宝石(例えば、無色のダイヤモンドなど)を除いて、多くの宝石はいろいろな色を持っています。ルビーは鮮烈な赤色が魅力です。エメラルドは鮮烈な緑色が特長です。美しい色は宝石の大きな魅力です。宝石の色は何によって生じるのでしょうか?
宝石の色の原因はいくつかに分類されます。大きく4つの種類があります。
(1)特定元素による発色。
(2)カラー・センターによる発色。
(3)干渉による発色。
(4)構造の歪みによる発色。
多くの宝石の発色は特定元素を含むことによって発色しています。その特定元素は8種類あります。
- クロム(Cr)
- 鉄(Fe)
- 銅(Cu)
- マンガン(Mn)
- バナジウム(V)
- ニッケル(Ni)
- チタン(Ti)
- コバルト(Co)
→ ルビー、エメラルドなど。
→ アルマンディン・ガーネット、ブルー・サファイアなど。
→ トルコ石、パライバ・トルマリンなど。
→ スペッサタイト・ガーネット、ロードクロサイトなど。
→ タンザナイト、ツァボライトなど。
→ クリソプレーズ。
→ 単独では発色しない。他の元素と共存して発色。チタンと鉄が共存して青色。
→ この元素による発色の宝石はほとんどありません。鉱物としてはコバルトとマンガンを含む比較的きれいな方解石があります。一方、ガラスではコバルト・ブルーの発色剤として多用されています。
カラー・センターによる発色は、アメシストやブルー・トパーズなどです。結晶構造の中の一部で電子が抜けて、そのために光が吸収されて発色します。
干渉による発色は、真珠やオパールなどです。光の波長に近い薄膜や超微細球があると虹色が発生します。身近な例ではシャボン玉です。薄い膜の水(石鹸水)と空気が接して虹色が発生します。
構造の歪みによる発色は、ピンク・ダイヤモンドやレッド・ダイヤモンドなどです。ダイヤモンドの結晶構造が歪められ、その結果として一部の光が吸収されて発色すると考えられています。
私達の衣服や周りの多くの商品の色は、有機染料による着色です。宝石の発色原因とはまったく異なります。