エメラルドを識別するには、先ず目の前にある石がエメラルドであることを判定する必要があります。緑色(グリーン)の天然産の石は、いくつもあります。例えばグリーン・ガーネット、ペリドットなどです。模造石としてグリーン・ガラスもあります。
次に合成エメラルドがたくさん市場に流通しています。ですから、天然エメラルドと合成エメラルドを識別する必要があります。

1.エメラルドと判定する手順

エメラルドには二色性があります。二色性とは、石の方向を変えると色が変わる性質のことです。エメラルドの二色性は「青緑色」と「黄緑色」です。ですから、この2色が見られたら、エメラルドと判定します。
エメラルドの側面から長手方向と短手方向で観察します。判り易い石と判り難い石がありますので、注意深く観察します。

右図のように長手方向と短手方向を交互に回すと、色相の違いが判ります。
エメラルドの二色性は天然石も合成石も同じです。

2.天然エメラルドと合成エメラルドの識別手順

天然エメラルドの特徴は、他の宝石と比較してインクルージョン(内包物、異物)が多いという点が挙げられます。欠点の無い人はいないと言われるように、エメラルドもインクルージョンの無いエメラルドはない、と言われています。
天然エメラルドをテーブル面から10倍のルーペで観察しますと、ほとんどの場合、インクルージョンが見られます。比較的少ないインクルージョンのエメラルドから、石の全面にインクルージョンが見られるエメラルドまであります。
一方、合成エメラルドはほとんどインクルージョンがありません。時々、わずかなインクルージョンが見られるだけです。天然エメラルドと合成エメラルドの識別はインクルージョンが目安になります。

■補注
二色性の強さは3段階で表示されます。ルビーなどは「強」です。エメラルドは「明瞭」です。アメシストなどは「弱」です。エメラルドは明瞭となっていますが、実際にはやや明瞭といった感じです。青緑色と黄緑色の二色を認識するには、じっくり観察する必要があります。
エメラルドの二色性を観察するとき、インクルージョンが多い石や色が薄い石では二色性を観察しにくいです。

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