青と赤なのに、ほとんど同じサファイアとルビー

サファイアとルビーは同じ組成です。組成とはある宝石の本体を形造っている元素の割合です。この両石は、アルミニウム元素と酸素元素で造られており、本体はコランダムと呼ばれています。コランダム自体は無色透明です。このコランダムに微量の鉄とチタンが含まれると、ブルー・サファイアになります。微量のクロムが含まれると、ルビーになります。
サファイアにはいろいろな色があります。青色のブルー・サファイア、橙色のオレンジ・サファイア、黄色のイエロー・サファイアなどです。赤色はレッド・サファイアと呼ばれるところですが、例外的にこの色をルビーと称する習慣です。
このようにサファイアはいろいろな色で産出しますが、ここではサファイアの代表として青色のブルー・サファイアを取り上げます。
サファイアとルビーは同じもの、コランダムと呼ばれるものでできています。色の違いだけです。赤色をルビーと称し、赤色以外のコランダムをすべてサファイアと呼びます。

サファイアの代表 天然のブルー・サファイアを見極める

サファイアの代表的な色は、比較的広く知られている青色のブルー・サファイアです。
このブルー・サファイアの鑑別において、課題となることは天然ブルー・サファイアと合成ブルー・サファイアを識別することです。
合成ブルー・サファイアは中国、その他いくつかの国でたくさん造られています。日本の市場にも広く出回っています。
天然ブルー・サファイアの鑑別に当って、先ず鑑別とは、ある石(宝石)が何であるか、本物か偽物か、天然石か合成石かなどを判定することを言います。次に合成石とは、天然石に対比される用語で、天然石と組成が同じだが、人の手によって造られたものをいいます。
天然ブルー・サファイアと合成ブルー・サファイアを比較すると、外観の色はどちらも鮮青色です。一目見ただけでは識別は難しいです。そこで、両石を側面(ガードル部、石の最外部)から肉眼または低倍率の虫眼鏡(3倍~5倍前後)で観察します。このとき、10倍のルーペが手元にあると最適です。
天然ブルー・サファイアを側面から観察すると、青色と緑青色(または黄青色)の二色が見られます。合成ブルー・サファイアでは、ほとんどの場合、青色と淡青色が見られます。ときに青色と淡黄青色が見られます。宝石に二色が見られる特性を二色性といいます。ブルー・サファイアは強い二色性を示します。ですから、比較的、ブルー・サファイアの二色性は観察し易いです。
弱い二色性を持つアメシストなどは、二色性を観察しにくいです。ブルー・サファイア以外の色、オレンジ・サファイア、イエロー・サファイアそしてルビーも二色性を比較的容易に観察できます。

天然だからこそのインクルージョン(異物)

次に天然ブルー・サファイアと合成ブルー・サファイアを識別する方法として、インクルージョンの観察が挙げられます。
インクルージョンとは、日本語では内包物と呼ばれており、石の内部に存在する異物のことです。インクルージョンを観察するには、一般に10倍のルーペを使用します。
天然ブルー・サファイアの内部を10倍のルーペで観察すると、ほぼすべての石でインクルージョンを見つけることができます。
一方、合成ブルー・サファイアでは、ほぼすべての石でインクルージョンが見られません。極めて希に小さな泡が見られることはあります。
このように石の内部にインクルージョンが見られた場合、ほぼ天然石です。見られない場合、ほぼ合成石です。

ベルヌーイ法で作られた合成石

さらに、天然ブルー・サファイアと合成ブルー・サファイアを確実に識別できる方法もあります。ほとんどの合成ブルー・サファイアは、ベルヌーイ法と呼ばれる方法で造られています。この方法で造られた合成石の特徴を知ることで識別が容易になります。

この方法は1903年頃、フランスで開発されました。この方法によって、安価に合成石を造ることができます。中国やその他の国で合成石が大量に生産されています。
この方法で造られたブルー・サファイアを10倍のルーペで観察すると、曲線状のたくさんの筋が見られます。右の描画の中央に描かれた曲線です。これはカーブ・ラインと呼ばれています。
このカーブ・ラインを写真に撮っても、なかなか判りづらいですから、描画にしています。
カーブ・ラインは合成石に見られる特徴的なものです。一方、天然ブルー・サファイアでは、直線状の筋や直線状の縞が見られます。曲線状か直線状かを見分けることで、合成か天然であるかを判定できます。

合成サファイアだけじゃない!ブルー・ガラスの存在

天然ブルー・サファイアの鑑別に当って、合成ブルー・サファイアが一番の課題ですが、市場にはブルー・ガラスもたくさん出回っています。
ブルー・ガラスを側面(ガードル側)から観察して、青色と他の色が混じった青色が存在するかどうかを見ます。例えば、青色と緑色味を帯びた青色などがあるかを見ます。
青色のみが観察されれば、その石はブルー・ガラスです。わずかに薄い青色が観察されますが、他の色味が無い場合は、青色も薄青色も同一とみなします。
このようにブルー・ガラスでは、青色の一色のみが見られるだけです。一色の場合はブルー・ガラスと判定します。
ブルー・ガラスには、しばしば泡(気泡)と脈理(スワール)が見られます。10倍のルーペでガラスの内部を観察すると、丸い小さな泡が見られることも多いです。天然ブルー・サファイアには丸い泡は見られません。また、ブルー・ガラスには脈理も見られます。脈理とは、水の中に蜂蜜を少し垂らして、箸(はし)でかき混ぜたときに見られるモヤモヤとした感じのものをいいます。天然ブルー・サファイアには脈理は見られません。

赤色のコランダムはルビーと呼ばれ、赤色以外の色のコランダムはすべてサファイアと表示されます。そして、サファイアの場合には、サファイアの前に色の名前を付ける、というのが約束事です。例えば、サファイアの代表的な色は青色です。青色のサファイアであれば、ブルー・サファイアと表示されます。
サファイアの代表であるブルー・サファイアの鑑別において、一番の課題は合成ブルー・サファイアをどのようにして識別するかです。先ず、インクルージョンの有無を観察して、次にカーブ・ラインの有無を10倍のルーペで検査することです。