1.外観特徴
単結晶からカットされる赤色からピンク色の透明な石はジュエリーとして愛好家に人気があります。多結晶からカットされるピンク色と白色の縞模様を持つ半透明または不透明な石はアクセサリーや飾り石(置物など)として使用されています。
赤色のロードクロサイトは産出量が少なく、希少石の扱いになります。ピンク色と白色の縞模様を持つロードクロサイトは、市場ではインカ・ローズとして販売されています。
2.美しさの理由
ロードクロサイトの明るい赤色は、ルビーやレッド・スピネルのような魅力ある色です。縞模様を持つインカ・ローズは幾何学的な魅力があります。赤色やピンク色の発色原因は、マンガン(Mn)元素を組成として取り込んでいるからです。
3.耐久性
この石のモース硬度は4です。低硬度に位置する石です。また強い劈開の特性を持っているので、リング(指輪)には不向きです。リングに使う場合は、貴金属などで
石を保護するデザイン処理が必要です。
インカ・ローズの場合、半透明や不透明ですから表面のスリ傷は目立ちません。そして多結晶ですから、劈開による破損は心配要りません。
4.原石形状
単結晶のロードクロサイトは平らな面で囲まれた菱面体で産出します。多結晶のインカ・ローズは塊状で産出します。
5.鑑別
単結晶の透明なロードクロサイトは強いダブリングを示すことから、他の赤色、ピンク色の石と識別できます。インカ・ローズは縞模様に対して直角に繊維状に伸びている結晶の組織が特徴です。
6.その他
(1)化学組成:MnCO3
(2)産出国 :アメリカ、日本、アルゼンチンなど。
(3)日本名(和名):菱マンガン鉱。
(4)参考:日本の北海道で美しいロードクロサイトが少し産出していました。今は閉山しています。多結晶のロードクロサイトはカット方向によってバラの花のように見えることから、そしてアルゼンチンで産出したことからインカ・ローズと呼ばれました。