1.外観特徴

一見すると、ブルー・サファイアに似ています。しかし、タンザナイトは青色の中にチラチラと紫色が見える特長があります。
タンザナイトが発見(1967年)された後、しばらくの間は青色が強く出る方向にカットされていました。最近では青色の中に紫色が見られるようにカットされています。テーブル面に紫色が現れるようにカットされることが一般的です。

2.美しさの理由

タンザナイトの美しさは鮮やかな青色と紫色が共存しているところにあります。カット方向によって、青色を強調することも紫色を強調することも可能です。
青色と紫色の発色原因は微量に含まれるバナジウム(V)です。本体中に含まれるバナジウムの価数が異なるために青色と紫色が共存していると推測されます。

3.耐久性

モース硬度は6.5です。宝石に必要なモース硬度は7以上と考えられています。ですから、タンザナイトはわずかに下回ります。また、劈開(へきかい)の性質を持っています。モース硬度と劈開を考慮すると、タンザナイトの耐久性は高いと言えません。従って、リング(指輪)に使用する場合は、貴金属でこの石を保護するようなデザイン処理が必要です。

4.原石形状

平らな面を持つ扁平柱状(長い板状)です。側面方向は濃い青色で、長手方向(伸長方向)は紫色が強いです。カットする場合、一般にテーブル面は長手方向に平行でなく、少し傾けるようにします。

5.鑑別

ブルー・サファイアとの識別が課題となります。ブルー・サファイアを側面から観察すると、青色と緑青色(または黄青色)が見られます。
一方、タンザナイトを側面から観察すると、青色と紫色が見られます。両者の識別には紫色の存在を確認することがポイントとなります。

6.その他

(1)化学組成:Ca2Al3(SiO4)3(OH)
(2)産出国 :タンザニア。
(3)備 考 :ほとんどのタンザナイトは加熱処理(370度~400度、30分間)されています。本体は灰簾石(かいれんせき)(日本名、和名)と呼ばれる鉱物です。英語ではゾイサイト(Zoisite)と呼ばれています。

本稿は無断転載禁止です。ヴィサージュジャパン 株式会社