【宝石個別解説031】グリーン・サファイア（Green sapphire）

１．外観特徴

グリーン（緑色）という色の名前が付いていますが、エメラルドのような鮮やかなグリーンではありません。落ち着いた控え目なグリーンです。
薄いグリーンから深いグリーンまで幅広く分布しています。さらに色相は黄色味を帯びたグリーンから純粋に近いグリーンまであります。英語ではオリーブ・グリーンやリーフ・グリーンという表示が見られます。
本体はサファイアですから比較的高い屈折率を持っており、表面の輝きは充分にあります。

２．美しさの理由

グリーン・サファイアは華やかなグリーンではありません。落ち着いた色のグリーンです。本体はサファイアですから一定の輝き、美しさを備えています。
グリーン系の色を求める消費者にとっては、比較的珍しいグリーンの色を持つサファイアもひとつの選択肢です。
この石の発色原因は微量に含まれている鉄（Ｆｅ）元素です。鉄の含有量と鉄の価数によって色の濃淡、帯黄色味が影響されます。

３．耐久性

サファイアのモース硬度は９です。充分に高い硬度を持っています。劈開は極めて弱いです。ですから、衝撃に対してもかなり強いです。総合的に見て、充分な耐久性を持っている宝石と言えます。

４．原石形状

両端は六角錐で、長さが短い六角柱で構成されている結晶です。水平方向に筋（ストリエーション、条線）が見られます。

５．鑑別

グリーン・トルマリンやペリドットとの識別が課題となります。この両石とグリーン・サファイアの識別には、ダブリングの観察が有効です。両石のダブリングは比較的大きいですが、グリーン・サファイアのダブリングはかなり小さいです。

６．その他

（１）化学組成：Ａｌ２Ｏ３（コランダムまたはアルミナ）。
（２）産出国　：オーストラリア、スリランカ、タンザニアなど。
（３）備　考　：ルーペ（１０倍）で内部を観察すると、しばしば色帯（帯状の色ムラ）が見られます。