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サンゴにはさまざまな色があります
サンゴ(珊瑚)は英語でコーラル(Coral)と表示されます。年配の方にとってはサンゴという言葉が馴染み深いと思われます。しかし、最近のウェブサイトなどではコーラルという表示も見かけます。ここでは多くの人が聞き慣れているサンゴという言葉を使います。
サンゴは古くからヨーロッパや中国、日本で貴重品、宝物として扱われてきました。当初は地中海で採取されたサンゴのみが流通し、日本にも「胡渡り(こわたり)珊瑚」として輸入されていました。
その後、江戸末期から明治初期に高知県沖でサンゴが採取され、日本産サンゴが世界に知られるようになりました。サンゴの赤色が多くの人を魅了しました。
サンゴと言えば、先ずは赤色をイメージする人がほとんどと思われます。しかし、サンゴには他の色もいくつかあります。サンゴの色は一般的に次のように分けられています。
(1)赤色サンゴ(または赤サンゴ)
・血赤サンゴ
・赤色サンゴ
・紅色サンゴ(または紅サンゴ)
(2)桃色サンゴ(または桃サンゴ)
(3)白色サンゴ(または白サンゴ)
(4)黒色サンゴ(または黒サンゴ)
よく知られる赤いサンゴ
赤色サンゴは赤色系のサンゴをすべて含みます。赤色系といっても暗い濃い赤色からオレンジ色や黄色を帯びた赤色もあります。そこで、赤色サンゴはさらに3種類に細分されます。血赤サンゴと赤色サンゴと紅色サンゴです。
赤色サンゴは一般的な赤色を示すサンゴです。右の写真(下段)は赤色サンゴです。
紅色サンゴは基本的には赤色ですが、オレンジ色や黄色を帯びている赤色に対して使われます。緋色(ひいろ)と呼ばれる色は紅色に該当します。
少しマイナー? 桃色サンゴや、白黒サンゴ
右の写真は桃色サンゴです。白色をベースにしてオレンジ色味やピンク色味をしています。
採取地域や、海の深さで分類することも
サンゴは一般に色別に分類されますが、採取地域の名前を冠して呼ばれることもあります。地中海サンゴという言葉は広く知られています。
採取地域で分類すると、地中海サンゴの他に日本近海サンゴ、東シナ海サンゴ、南シナ海サンゴ、ミッドウェイ海域サンゴなどが挙げられます。
さらに採取される海の深さで表現されることもあります。深海サンゴという言葉も使われます。深海に対しては水深50メートルから200メートルで採取されるサンゴは浅海サンゴということになります。しかし、浅海サンゴという言葉はあまり使われません。
自然のままに成長する唯一の生物由来宝石
サンゴは真珠と同じく海から採取されます。真珠は母貝(真珠貝)に人工的に核を入れた後、海で養殖され、採取されます。
一方、サンゴは自然のまま海底で成長して行き、採取されます。サンゴは成長過程で人為的な手は加えられていません。
生物から生まれるサンゴや真珠は生物起源宝石(生物由来宝石)と呼ばれています。他方、ほとんどの宝石は非生物起源です。
生物起源宝石(サンゴの他に真珠、アイボリー、ベッコウ、ジェット)は、他の多くの宝石(ルビーやブルー・サファイアなど)と比較して硬度が低く、耐久性は劣ります。
しかし、一般的な日常使いでは特段の問題はありません。頻繁な使用、過度な衝撃や過剰な日光照射、洗剤による水洗いなどを避ければ、特に問題ありません。
サンゴの色はタンパク質に由来する
赤色系のサンゴは、どのような原因で発色しているのでしょうか? 多くの宝石は微量の不純物を含むことで発色しています。例えば、ルビーは微量のクロム元素を含むことで、赤色に発色します。ブルー・サファイアは微量の鉄元素とチタン元素を含むことで青色に発色します。
サンゴの本体は炭酸カルシウム(無機物)です。サンゴの赤色の発色はわずかに含まれているタンパク質(有機物)に原因しています。そのタンパク質はカロテノイド(アスタキサンチン、カンタキサンチンなど)と呼ばれている天然色素です。サンゴ虫は海水から炭酸カルシウムや赤色の原因となるタンパク質を摂り込んでいます。
黒色サンゴは他の色のサンゴと少々異なります。黒色サンゴ以外の本体は炭酸カルシウム(無機物)ですが、黒色サンゴの本体はタンパク質(有機物)(コンキオリン)で構成されています。このタンパク質が黒色を帯びている、と思われます。