【宝石個別解説025】ブルー・ジルコン（Blue zircon）

１．外観特徴

強い輝きを持つ透明な青色の石です。青色について、ブルー・サファイアの青色と異なり、ブルー・トパーズに近い青色です。
輝きを引き出すため、ほとんどラウンド・ブリリアント・カットにされる場合が多いです。ガードル部（最大直径部）の厚さは、ダイヤモンドと比較すると、かなり厚いです。

２．美しさの理由

ブルー・ジルコンの美しさは、強い輝きと比較的濃い青色にあります。輝きが生まれる理由は、ジルコンの高屈折率にあります。高屈折率の石は光の反射が強く、内部からの光の反射も強いです。
市販されているブルー・ジルコンのほとんどは加熱処理されたものです。青色の発色は、微量に含まれる不純物に因るものでなく、格子欠陥（原子の並びの欠陥）に因ると推測されています。

３．耐久性

モース硬度は７．５であり、スリ傷に対しては耐久性があります。しかし、ジルコンは衝撃に対して弱い傾向にあり、ファセット・エッジが摩耗する性質があります。
ですから、リング（指輪）に少し不向きです。リングにする場合は、貴金属部で保護するデザイン処理が必要です。
この石はイアリングやピアスに使用することが望ましいと言えます。

４．原石形状

平らな面で囲まれた四角柱状で産出します。両端は四角錐です。

５．鑑別

類似石としてブルー・トパーズやブルー・ガラスが挙げられます。これらの石とブルー・ジルコンの識別は、ダブリングを観察することで可能です。
ブルー・ジルコンは複屈折量が大きく、明瞭なダブリングを示します。１０倍のルーペでダブリングを確認することで、他の類似石と識別できます。

６．その他

（１）化学組成：ＺｒＳｉＯ４
（２）産出国　：ベトナム、カンボジア、タイなど。
（３）日本名（和名）：風信子石（ひやしんすせき）。
（４）参考：褐色の原石を加熱処理すると、ブルー・ジルコンが得られます。