宝石を愛する、ジュエリーを愛する方に覚えておいてほしいことがあります。皆さんも一度や二度は聞いたことがある、加熱処理や放射線処理などの人工処理。
言葉は聞いたことがあるけれど、特別意識してこなかった、という方にこそ熟読してほしい、宝石の人工処置についてクローズアップしてみたいと思います。

宝石の人口処理は2種類あるって知ってた?

宝石の価値というものを一言で表すのは簡単ではありません。ダイヤモンド、その中でもラウンドブリリアントカットされたものは、カット、カラット、クラリティー、そしてカラーの4Cである程度の価値を下すことが可能です。

他の貴石、半貴石に関しては、4C要素でその価値を判定できないため、主に希少性、カラー、内包物の有無、産地やカラットなどの要素で、おおよその価値が決まってきます。

これらに加え大切になってくるのが人工なのか天然なのか、そしてそこに何らかの人工処置を加えているのかが重要になってくるのです。ここではまず宝石の価値を決める上でこの上なく大切な、人工処置について考えてみたいと思います。

宝石の潜在力を引き出す処置

宝石の原石を研磨する以外に一切の処置を加えていないものを、処置ナシと定義しましょう。

ここではまず宝石の価値をある程度損なわずに、研磨以外でその宝石の価値を底上げする人工処置について解説したいと思います!一般的に、その宝石の美しさを一気に引き上げることを第一目的とする、エンハンスメントという処置を言います。

エンハンスメント、つまり改良ということです!このエンハンスメント処置をすることで、より審美性を強化することができるので、パッと見の美しさは人工処置前と比べて格段に上がります。

エンハンスメント処置の例を挙げると、加熱処理または含浸処置と呼ばれるもので、前者は低温~高温に宝石を加熱することでそのカラーを改良することをいい、後者は宝石をオイルに染みこませることで割れ目や内包物を見えにくくすることです。

例えば、エメラルドは内包物や傷が多い鉱物として知られますが、その見た目を良くするために含浸処置がされることが多く、無処置の天然石では認められないハッとしたグリーンをそこに付加します。また加熱処理はルビー、シトリンやアクアマリンなどで多く見られます。

これらの処理は非常に頻繁に行われている処置であり、無処置の物に比べると鉱物的価値は下がりますが、大きなマイナスポイントにはなりません。

宝石の改変と透明度の改良

非常にわかりづらいですが、二番目の人工処置をトリートメントと呼び、エンハンスメントと線引きをして区別しています。トリートメントとは処置を意味しますが、これはエンハンスメントと比べて劇的にカラーやクラリティーを改善する処置のことで、原石とは比べ物にならないくらいの「改変」を与えることを言います。

宝石の持っている美しさを引き出すレベルではなく、白を黒に変えてしまう、そんな改変を施すことで、無理やり人工美を持たせてあげると考えればわかりやすいですね。

このトリートメント処置はエンハンスメントと比べ、宝石としての価値を大きく損ねるため、宝石としての価値はほぼなくなってしまいます。

トリートメントの種類としては、ガラスや樹脂を張り合わせるダブレット、高温高圧化、着色、放射線照射などの着色処理や重度のオイル含浸処理、鉛ガラス充填などでクラリティーを改善するなど、様々な方法でトリートメント処理が行われています。

このように宝石の人工処理は大きく分けて2種類あることが分かりました。これらの処置は非常に頻繁に行われており、ジュエリーやルース購入の際には注意深く説明文を呼んでみましょう。

加熱処理、放射線処理などの文字を見かけることは少なくないので、「あっ、エンハンスメントで美しさを引き上げているんだな!」と購入前にその宝石の価値を推測することができるはずです。

人工処理と無処理の違いを理解してジュエリーを楽しもう!

エンハンスメントとトリートメント、両者の違いわかって頂けたでしょうか? ここでは、それらのまとめとして、人工処置と宝石の資産価値に関して触れてみたいと思います。

宝石選びは価値のどこに重心を置くかが大切!

前述で説明したようにエンハンスメントもトリートメントも、天然石を使用しているという点で、どちらも本物の天然石であることは変わりません。ただし資産価値という順列に従うと、無処理>エンハンスメント>>トリートメントという図式が成り立ち、宝石、ジュエリーを投資や財産的価値重きにおいて購入する場合は、人工処理がされているか否かは常に留意しなければなりません。

特にトリートメントは、レーザーで穴をあけてインクルージョンを取り除いたり、薄くスライスした原石をガラスやプラスチックに張り付けるなど、かなり具合の悪いアグレッシブなトリートメントが施されることも……。

消費者がそれらを目視で判断することは非常に難しいのが現実ですが、まずはそれぞれの人工処理の区別をして知識として身に着ける。そして商品解説に目を寄せ、耳を傾けて、無処理または処理有りなのかを意識してジュエリー、宝石選びをするようにする、そんな少しの知識があなたのジュエリーライフをより一層豊かにしていくのです。

まとめ

今回は宝石の人工加工処理についてお話してみました。市場に氾濫している宝石、ジュエリーは、それこそ数百年前の物でない限り、何かしらの人工処理がされていると考えた方がいいかもしれません。それくらいエンハンスメント、トリートメントは当たり前になってきているのです。

宝石の価値を高める処理なら大歓迎ですが、その美しさは向上しても、価値の面では無処理に勝る人工処理石はありません。その区別、判断は難しいですが、世の中には様々な宝石が人の手により個性を付け加えられている、そんな現実を知ることで、少しでもそれらに興味を傾けることで、より宝石の魅力、面白さに気づくことでしょう。