1.外観特徴
わずかに紫色味を帯びたピンク色の透明な宝石です。欧米ではライラックの花の色に似ていると言われます。クンツァイトの名前はあまり知られていませんが、上品で優しいピンク色をした外観から、最近、人気が出てきています。
クンツァイトの名前は、宝石学者であるクンツ博士に由来します。
2.美しさの理由
紫色味を帯びたピンク色は、微量に含まれているマンガン(Mn)元素によって発色しています。しかし、ピンク色の発色原因はアルミニウムとケイ素の結合体による光の吸収である、という説もあります。
3.耐久性
クンツァイトのモース硬度は7です。この硬度であれば、耐久性があると判定できます。しかし、クンツァイトは強い劈開(へきかい)という性質を持っています。
一定以上の力が加えられると、特定の方向に割れる性質を持っています。ですから、リング(指輪)としての使用には不向きです。ペンダント・トップやイアリング、ピアスでの使用が推奨されます。
クンツァイトの色は永久ではありません。太陽光線によって徐々に色が薄くなってしまいます。強い太陽光線に晒(さら)すことは避けなければなりません。
退色は1日~1週間で進むわけではありません。年単位で進行します。クンツァイトは、色についての耐久性が比較的弱い宝石に分類されます。
4.原石形状
扁平長柱状の結晶で産出します。結晶の長手方向に平行に明瞭な「条線」が見られます。条線とは結晶の表面に見られる平行な線、筋のことです。
クンツァイトは方向を変えて観察すると、無色に見える方向があります。ですから、原石をカットするときは、テーブル面に無色が現れることを回避しなければなりません。一般に色を濃くするために厚さを高く(厚く)します。
5.鑑別
外観が似ているモルガナイトや合成ピンク・サファイアとの識別が課題となります。
クンツァイトはダブリングが比較的容易に見られることから、他の類似石と識別できます。
6.その他
(1)化学組成:LiAl(SiO3)2
(2)産出国 :アメリカ、ブラジル、マダガスカルなど。
(3)日本名(和名):リチア輝石(ピンク・リチア輝石)