1.外観特徴

青緑色から緑青色の透明な石です。1902年にマダガスカルで発見された比較的新しい石です。当初はインクルージョン(内包物、異物)が多く、宝石質のレベルでなかったため注目されませんでした。
ところが、2000年にスリランカで良質の石が発見され、さらに2014年にマダガスカルでも良質の石が発見されました。そして2018年頃から市場に出回るようになりました。
パライバ・トルマリンに似た美しい石もありますが、グランディディエライトは産出量が少なく、希少価値に重点がおかれています。

2.美しさの理由

青色と緑色が調和して穏やかな雰囲気を出す石です。この色の発色原因は微量に含まれている鉄(Fe)元素です。鉄の価数は2価と3価があります。価数によって青色が優勢になることもあり、緑色が優勢になることもあると推測されます。

3.耐久性

この石のモース硬度は7.5です。ですから、スリ傷などの発生に対しては耐久性があると言えます。劈開は完全といわれるように特定の方向に強い衝撃を受けると破損します。比較的小さいサイズの石では劈開の心配はないと思われます。

4.原石形状

水晶のように整った結晶面ではないですが、比較的厚めの板状の結晶で産出します。

5.鑑別

類似石として青緑色のアパタイトや青色のトルマリンが挙げられます。多色性について、グランディディエライトは三色性で、ある方向では無色が見られます。確実な判定は屈折計を使用する必要があります。

6.その他

(1)化学組成:(Mg、Fe)Al3(BO3)(SiO4)O2
(2)産出国 :マダガスカル、南アフリカ、スリランカなど。
(3)日本名(和名):グランディディエ石。
(4)由来:マダガスカルの地理、植物、動物、鉱物を調査したフランスの博物学者・グランディディエ(Grandidier)の功績をたたえて、命名されました。
(5)参考:屈折率について、1.578~1.639や1.590~1.623の資料があります。この石はインクルージョンが多く、ほとんどはビーズやカボッションに加工されます。略称はディディエ、グランディ、グランなどです。

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