1.外観特徴

以前、淡水真珠の形は米粒状が多く、アコヤ真珠と容易に識別できていましたが、最近では真球で大粒も現れて、アコヤ真珠との識別が難しくなりました。
アコヤ真珠は美しい真珠層、テリの良さが特長です。しかし、良質の淡水真珠は同様な外観を有しており、識別がより困難となって来ました。
日本の淡水真珠は琵琶湖や霞ケ浦で養殖が盛んでしたが、近年は中国産に圧倒されています。

2.美しさの理由

真珠の美しさは真珠光沢にあります。真珠光沢は極めて薄いアラゴナイトの積層での干渉色で生まれます。
有核淡水真珠の真珠層は0.5ミリ前後と推測されますが、この厚さの中に数千枚のアラゴナイトが積層されています。このアラゴナイトの薄層で光が干渉して独特の淡い光を発します。

3.耐久性

アラゴナイトのモース硬度は3です。ですから、耐久性は低いです。表面にスリ傷が発生しやすいです。しかし真珠は不透明なため、スリ傷は目立ちません。ただし、長期にわたってスリ傷が多発すると、テリが失われ、曇り状になります。

4.原石形状

有核真珠では球状、無核真珠では楕円体(米粒状)です。有核の場合、核の形状に沿って成長することから、任意の形状を造ることは可能です。

5.鑑別

淡水真珠の鑑別について、課題は模造真珠とアコヤ真珠との識別ということになります。淡水真珠と模造真珠の識別は、真球度の観察がひとつの目安になります。決定的な違いは表面の指紋模様にあります。模造真珠には指紋模様はありません。
淡水真珠とアコヤ真珠の識別は難しいです。決定的な違いはマンガン元素の有無にあります。この元素の検出には専門装置(蛍光X線装置)が必要です。

6.その他

(1)化学組成:CaCO3(炭酸カルシウム)+有機物(コンキオリン)。
(2)産出国 :中国、日本、アメリカなど(各国の河川、湖で養殖)。
(3)日本名(和名):淡水真珠(湖水真珠)または略して淡水。
(4)備考:着色が容易で判定が難しいです。淡水真珠の母貝は、池蝶貝またはヒレ池蝶貝です。

本稿は無断転載禁止です。ヴィサージュジャパン 株式会社