【宝石個別解説015】ローズ・クォーツ（Rose quartz）

１．外観特徴

ピンク色をした曇り状、半透明な石です。ピンク色は淡いものから濃いものまであります。透明度については、基本的に半透明ですが、かなり光が透過するものからほとんど光が透過しないものまであります。
一般に微細な針状の二酸化チタン（ＴｉＯ２）が含まれており、このインクルージョンの量と大きさ（サイズ）が透明度に影響しています。
ローズ・クォーツは半透明ですからファセット・カットされることは希で、ほとんどはカボッション・カットです。

２．美しさの理由

半透明のピンク色が、優しい柔らかな雰囲気をつくり出しています。半透明とピンク色がこの石の美しさの基です。
この石の発色原因は、チタン（Ｔｉ）元素がケイ素（Ｓｉ）元素と置き換わることで、光の吸収（青色から緑色の吸収）が起こり、その結果としてピンク色になると推測されています。

３．耐久性

モース硬度は７です。宝石に必要なモース硬度は７以上ですから、ローズ・クォーツは耐久性があると言えます。

４．原石形状

平らな結晶面を持たない塊状で産出します。希に六角柱状もあります。ローズ・クォーツはチタン元素を含んでおり、このチタン元素が結晶面の成長を阻害していると推測されています。

５．鑑別

市場には半透明のピンク色をしたガラス製模造品が出回っています。ローズ・クォーツとローズ・ガラスの識別は、ルーペ（１０倍）で観察することで可能です。
ローズ・ガラスにはほとんど泡（気泡）が見つかります。ローズ・クォーツには泡がありません。

６．その他

（１）化学組成：二酸化ケイ素（ＳｉＯ２）
（２）産出国　：ブラジル、マダガスカル、インドなど。
（３）日本名（和名）：紅石英（べにせきえい）［結晶面が見られ、良い透明度の場合は紅水晶（べにずいしょう）］