1.外観特徴
緑色や青色などを帯びた黒色の真珠光沢が特徴です。黒蝶真珠はアコヤ真珠と比較して大珠(直径8ミリ以上)です。
大珠を得るには母貝(真珠をつくり出す貝)も大きい必要があります。単に大きい核を入れればよい、という訳ではありません。アコヤ母貝の大きさは約10センチですが、黒蝶母貝は約10センチから20センチと大きいです。
黒蝶真珠ではしばしばサークルと呼ばれている筋(線)が見られます。アコヤ真珠や白蝶真珠と比較して、黒蝶真珠ではサークルの発生が多いと言われています。
2.美しさの理由
真珠の美しさは真珠光沢にあります。真珠光沢は真珠層での光の干渉で生まれます。黒蝶真珠では黒色を基調として緑色や青色、赤色の真珠光沢が見られます。
黒色の発色は黒色のタンパク質(コンキオリン)に原因しています。何世代に渡る
黒蝶母貝の改良[より黒い外套膜(がいとうまく、貝の内蔵器官の一種)、より強い真珠光沢を持つ母貝の選別]の結果、今日の美しい黒蝶真珠の養殖に至っています。
3.耐久性
モース硬度は3です。低硬度で耐久性は落ちます。しかし、真珠は不透明なためにスリ傷の発生は目立ちません。ただし、長期にわたる使用でスリ傷が多発すると、テリが失われてしまいます。
4.原石形状
養殖の黒蝶真珠は核入れされていますので、球状の核に沿った形状となります。バロック(異形)も発生しますが、基本的には球形です。
5.鑑別
黒真珠(ブラック・パール)と呼ばれる中には、淡水真珠や海水真珠を黒色に染色したものも含まれます。さらに黒色の模造真珠も市場に出回っています。
真珠であるかどうかは、真珠層に見られる指紋模様の存在を確認することで判定できます。染色の判定は専門装置(FTIRなど)が必要です。
6.その他
(1)化学組成:CaCO3(炭酸カルシウム)。
(2)産出国 :タヒチ諸島(世界の90%以上)。
(3)備 考 :黒蝶真珠を養殖する試みは1900年頃から始まりました。そして、1970年頃から商業的生産に至りました。黒蝶真珠のサイズの主流は11ミリから13ミリです。黒蝶真珠はタヒチ・パール(タヒチアン・パール)とも呼ばれています。