タンザナイトの人気のヒミツ

タンザナイトの魅力は鮮やかな青色にあります。さらにブルー・サファイアでは見られない紫色がチラチラと見え隠れすることも魅力です。
タンザナイトは日本や世界の多くの国で人気があります。タンザナイトの人気の理由は、基本的にその鮮やかな青色にあります。しかし、その他にも理由がいくつかあります。
ひとつの理由は希少性です。アフリカ大陸のタンザニアのみで産出するという希少性です。産出する国が1ヵ国、1地域だけですから産出量も限られます。また、タンザナイトは無尽蔵に埋蔵しているわけでなく、今後、約20年間で枯渇するのではないか、と言われています。
もうひとつの理由は価格です。同じ青色の代表的な宝石であるブルー・サファイアの価格と比較して、タンザナイトの価格はかなり安価です。多くの人が入手可能な手頃な価格です。

ブルー・サファイアとの決定的な違いは「もろさ」

鮮やかな青色なのにタンザナイトは、なぜブルー・サファイアに近い価格にならないのでしょうか。その理由はタンザナイトのネガティブ特性(負の特性)にあると思われます。

右の表はタンザナイトとブルー・サファイアの硬度と劈開(へきかい)について、数値と度合いを示しています。
先ず硬度について、タンザナイトの硬度は6.5です。ブルー・サファイアの硬度は9です。

すべての宝石や鉱物は硬度が1から10のいずれかに分類されます。
最も軟らかい硬度1は滑石です。最も硬い硬度10はダイヤモンドです。硬度は耐久性の目安になります。宝石に必要な硬度は7以上と考えられています。
タンザナイトの硬度6.5は少し硬さが足りません。ブルー・サファイアの硬度9は充分な硬さを持っています。
次に劈開について、タンザナイトの劈開は顕著と表示されます。ブルー・サファイアの劈開は不在、存在しません。劈開とはある宝石に一定の力を加えると、特定の方向で比較的容易に割れる性質のことです。
劈開が顕著な宝石は取扱に注意しなければなりません。タンザナイトのリング(指輪)を購入された方は、日常で使用するときにタンザナイトに強い衝撃を与えないように注意する必要があります。この点について、宝飾品メーカーはタンザナイトが顕著な劈開を持っていることを熟知していますので、制作にあたってタンザナイトを保護するデザイン処理を施しています。ですから、リングを購入された顧客は安心してタンザナイトを使用しても大丈夫と思います。
ブルー・サファイアの劈開は不在です。劈開が存在しませんので、この宝石が劈開という現象で破損することはありません。この劈開と先程の硬度について、タンザナイトとブルー・サファイアが持っている特性を比較すると、ブルー・サファイアが宝石としてより優れていると言えます。
タンザナイトの魅力は鮮やかな青色、希少性、比較的安価などです。しかし、タンザナイトを宝飾品として顧客に販売するには、硬度や劈開という特性を知っておく必要があります。さらにタンザナイトの多色性なども知っておく必要があります。

タンザナイトについてより深く知る

ここで、タンザナイトの本質特性、そこから生まれる固有特性、さらに私達が身近に接する表面特性について述べます。

右の図は本質特性、固有特性、表面特性を表した三層特性図です。
先ず、本質特性を知るには組成を知る必要があります。タンザナイトの組成は、カルシウム(Ca)、アルミニウム(Al)、ケイ酸(SiO4)、水酸基(OH)で構成されています。ここで、注目すべきことは微量のバナジウム(V)を含むことです。このバナジウムがタンザナイトの鮮烈な青色を生み出しているのです。

次に固有特性を眺めると、顕著な劈開が挙げられます。タンザナイト用いる宝飾品は、劈開を出来る限り回避するようなデザイン処理が求められます。
タンザナイトは多色性を持っています。方向によって青色が強く出る場合、紫色が強く出る場合があります。カッター(研磨工)は市場動向、消費者動向を把握しながら、原石のどの方向にテーブル面(正面の広い平らな面)を設定するかを決めなければなりません。
そして表面特性について、図中に鮮烈青色と低い耐久性の項目があります。タンザナイトの鮮やかな青色は見れば直ぐに感じることができます。しかし、低い耐久性は直ぐには判りません。日常で使っている中で徐々に現れてくるものです。この耐久性は硬度と劈開に原因しています。
表面特性の中に二色性の項目があります。この現象は方向を変えて見ると、青色と紫色が現れることです。タンザナイトが産出したときは三色性です。しかし、原石を加熱処理すると、二色性に変化します。(多色性は二色性と三色性をまとめていう用語)
今、流通してほぼすべてのタンザナイトは、加熱処理されて鮮やかな青色が引き出されています。
タンザナイトは鮮やかな青色とチラチラと見える紫色が特長です。そして、世界の中でタンザニアのみで産出するという特異性も人気のひとつです。さらにブルー・サファイアと比較してかなり安価であることも人気の要因です。
しかし、タンザナイトは組成、構造に原因した顕著な劈開を持っていることも事実です。
さらに硬度が比較的低いのです。ですから、タンザナイトを使う予定の宝飾品メーカーのデザイナーは、出来るだけタンザナイトに衝撃を与えないような工夫が求められます。
リング(指輪)よりもペンダント・トップが望ましいといえます。リングは思いがけない衝撃を受ける機会が多いと推測されます。もし、タンザナイトをリングに使う場合は、貴金属で保護するデザイン処理を施す必要があります。