1.外観特徴
ルース(切断、研磨された石)のスギライトの基本的な色は、半透明の薄い紫色から不透明の濃い紫色です。その他にピンク色、黒色味の紫色、褐色、灰緑色もあります。
透明度について、ほとんどの石は不透明です。まれに半透明の紫色の石も産出します。この石はインペリアル・スギライトと呼ばれ、より高価になります。
スギライトはほとんど不透明で、硬度が低いためカボッション・カットされることが多いです。
色ムラがない均質なスギライトは少なく、他の鉱物(マンガン系の鉱物など)を含むことが多いです。
2.美しさの理由
スギライトの魅力は鮮やかな紫色にあります。この紫色を生み出す原因は、スギライトを構成しているマンガン(Mn)元素です。スギライトの場合、マンガン元素は不純物として存在しているわけでなく、スギライトの本体を構成しています。
色の濃淡はマンガン元素の含有量に影響されますが、さらに鉄(Fe)元素にも影響されると考えられています。
3.耐久性
スギライトのモース硬度は5.5~6です。宝石に求められる標準的なモース硬度は7以上です。ですから、スギライトの耐久性は少し低いと言えます。
低い耐久性と不透明という性質を持っていることから、ほとんどのスギライトはカボッション・カットにされます。
4.原石形状
特定の形状を持たない塊状で産出します。スギライトは平らな結晶面を持つことはほとんどありません。
5.鑑別
外観をスギライトに似せている偽物が市場に流通しています。代表的な偽物は、本物のスギライトを細かく砕いた粉末と紫色に染色したプラスチックを混ぜたものです。
その他に紫色のガラス製もあります。泡の存在や色溜まりなどを目安に鑑別します。
6.その他
(1)化学組成:KNa2(Fe、Mn、Al)2Li3Si12O30
(2)産出国 :ほとんど南アフリカのみ。
(3)日本名(和名):杉石(すぎいし)。杉健一博士に因む石です。宝石分野において、唯一、日本人の名前が付けられた石です。