ずっと欲しかったジュエリー、またはルースが偽物だったら……。考えただけでも悲しい気持ちになってしまいます。

今回はその中でも特に悪質な模造宝石の1つであるダブレット宝石、つまりは張り合わせ石をご紹介。悪質極まりないダブレット、しかしその一方で熱狂的なダブレットファンがいるという相反したその事実に迫っていきたいと思います。

ダブレットとは?宝石の張り合わせ石の仕組みはコレだ!

市場に流通している宝石が、狙っていたあのジュエリーにセットされている宝石は、必ずしも天然石とは限りません。

今回はそんな宝石の偽物にまつわるお話です。

あまり聞いたことがないと思いますが、ダブレット石という一見奇妙でありながら悪質な模造石。注意喚起という意味を込めて、宝石そしてジュエリーを愛する皆様にはぜひ熟読して頂ければと思っています。

悪質な模造宝石の代表例!二つの物質を接着

口休めにボリボリしたくなるのがタブレットなる錠果、スマホより大きな画面でネットを楽しみたい場合は携帯用のタブレット機。

しかし今回お話しているのはタブレットではなく濁点がつくダブレットのこと。ダブレット、英語で記すとDoublet。何となく想像つく方もいると思いますが、つまるところ二重などを意味する単語ですね。

前置きはさておき、今回お話するダブレットは高価な宝石に見せかけた模造石のことで、全く異なる石やプラスチック等を張り合わせて、「それっぽく」見せかける非常に具合が良くない偽物のこと。

基本的にダブレット宝石として流通する宝石は決まっており、オパール、ルビーやサファイアのコランダム、エメラルド、ヒスイなどが代表例です。

非常に薄くスライスした宝石を上部に下部にはガラス、合成石や母岩などを接着しているタイプが多く見受けられます。ここで例を挙げると、

① 上部にスライスダイヤモンド、下部分にガラス、ホワイトスピネル
② 上部にエメラルド、下部分にロッククリスタルや無色のベリル
③ 上部にルビー、下部分に合成ルビーやガラス
④ 上部にロッククリスタル、下部分にオパール
⑤ 上部にオパール、下部分に母岩
⑥ 上下部分に着色ガラスを接着
⑦ 上部にガーネット、下部分に着色ガラスや合成宝石

このように組み合わせは異なるものの、非常に多くのダブレット石のパターンが確認されています。

通常同色の天然石同士の接着を本ダブレット、天然宝石プラス合成または模造石の接着をセミ本ダブレット、無色天然宝石と着色ガラスは擬ダブレット、単なるガラスの接着をイミテーションダブレットと呼ぶことも覚えておきましょう。

これらは勿論宝石としての価値がとても低く、非常に厄介な種類の模造宝石と言えるのです。(例え一部に天然の宝石を接着していても。)

特に4大貴石のような美しく人気のある宝石は、その需要の高さからダブレット石が多く流通される傾向が高く、なおかつ宝飾品として加工されてしまうとその鑑別が難しくなります。

トリプレットもあるぞ!サンドイッチ状の模造石の正体

ダブレットは2種類の材質を接着したものですが、トリプレットは3種類の異なる物質または2種類の物質で接着したものを言います。上中下、サンドイッチ状に接着されたトリプレットも市場に多く流通しており、消費者を悩ませているのです。

特にコランダムやエメラルドに多く見られ、真ん中部分に着色ガラス、上下部分に模造したい低品質の天然石をセットするパターンが多く見受けられます。またトリプレットオパールも多く量産されており、上部にロッククリスタル、中部分にオパール、下部にブラックカルセドニー、または上下部分はプラスチック、中部にオパールなどのより粗悪なものも少なくありません。

なかなか手の込んだ人為処理が行われていますが、これらはオーストラリア、中国やベトナムなどの国々で多く量産されています。

ルチルプラスαの張り合わせ石が美しいと話題

ダブレット、トリプレット石であることを公表して販売している店舗は少ないですが、市場価格を考えても低すぎる値段で販売されているものは勿論リスキーですし、天然石が一部分でも使われていることを盾に天然宝石だと言い張り広告文を打つところもあるくらい……。

張り合わせ石は古代ローマ時代からその存在が確認されている長く伝統的な偽装術ではありますが、昨今は新たな面で張り合わせ石が注目を集めています。

ダブレット石で、黄金色の針状インクルージョンが美しいルチルと各種色石を接着したものです。特にアメジストとルチルのダブレットは、非常に幻想的な佇まいがあります。

これらは特にジュエリーデザイナーの作品としてあえてダブレット石を使ったジュエリーとして販売されることが多いようです。宝石としての価値はさておき、斬新なアート作品としてしばしそれらは大きな話題を呼んでいます。
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騙されない為にできること!ダブレット宝石の真贋方法まとめ

ここでは張り合わせ石と天然宝石の鑑別方法に関して、まとめていきたいと思います。ただしこれらは鉱物学の知識がない方にとって、それらの判断は非常につきにくいので、あくまで参考としてお読みください!

違和感を感じる接着面と内包物

まずダブレット、トリプレットのような張り合わせ石は前述したようにコランダム、エメラルドやオパールなどを模したものが殆どなので、注意喚起が必要な宝石はある程度限られてきます。

天然石同士なのか、天然石と合成石またはイミテーション、もしくはガラスやプラスチックのみで接着するのかによっても異なりますが、天然の物と比べて内包物や傷が少ない、接着面の不自然なラインなどから目視による判断も可能です。

しかし天然石同士の接着の場合はインクルージョンによる判別がつきにくく、ジュエリーとして加工されてしまった場合は、プロの鑑定士や研究機関による判別がない限りその鑑別は難しいのが現状と言えます。(研究機関では屈折率、単屈折・複屈折なのか、紫外線の吸収率や比重等で判断は可能です。)

ダブレット、トリプレットもピンキリで様々な模造石が作られており、その中でもいかに天然に見せかけるのかに注視した石も最近は多くなり、消費者だけでなくメーカー側も頭を悩ませているのです。

勿論これらの張り合わせ石は、先ほど説明したように芸術的な側面からあえてそれを楽しむ場合、または脆弱なオパールなどに貼り付けを行うことで強度を増すことができるなど、いくつかのメリットも存在しています。

ダブレット、トリプレットとわかっていて楽しむ場合は別ですが、本物と思って購入したら価値の低い張り合わせ石だった!という最悪なパターンを避ける為にも、今回のコラムは頭の片隅に覚えておいてくださいね。
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まとめ

ルビー、サファイア、エメラルド、そしてオパールの張り合わせなど、一見肉眼で見ただけではそれらの真贋を付けるのは非常に難しく、既にジュエリーに加工されている場合は一段と判別が尽きにくくなってしまいます。

しかしダブレットやトリプレットなどの張り合わせ石は鉱物的な価値こそありませんが、芸術的な美しさを持つ場合もあり、その評価は分かれるところです。

宝石を購入する店舗、場所は必ずしも日本の信頼あるメーカー、ショップからとは限りません。特に海外で高額なジュエリーやルースを購入予定の方は、より慎重に購入場所を選ぶ必要があることを忘れてないでくださいね!