アステリズム

宝石の書籍や宝石に関するネット記事の中にときどき「アステリズム」という用語が出て来ます。日本語では「星彩効果」と呼ばれています。スター効果と同じ意味です。
アステリズムは少し専門的な用語です。白い光の帯が石の上に星状に現れる現象のことです。一般に白い帯は3方向に出現します。星の中心から数えると、6本の帯となります。ですから、6ポイント・スターとも呼ばれています。
スターの中に見られる光の帯は、6ポイント・スターだけではありません。4ポイント・スターや12ポイント・スターも産出します。
通常、スター・ストーンとして知られている宝石は、スター・ルビーとスター・サファイアです。これらの宝石では一般に6ポイント・スターです。
天然石において、アステリズムの強弱はさまざまです。かすかに存在している石から
烈にアステリズムが見られる石までいろいろです。
アステリズムは光源にも影響されます。室内の複数の光源(蛍光灯など)よりも単光源であるペンライトを当てると、よりはっきりとアステリズムが見られます。

光条

スター・ルビーやスター・サファイアを上から観察すると、6本の白い光の帯が見られます。この光の帯は光条(こうじょう)と呼ばれています。光条の現れ方はインクルージョンの分布に影響されます。
スター・ルビーやスター・サファイアにおいて、スターを発現させているインクルージョンはルチルの結晶です。ルチルの組成は二酸化チタン(TiO2)です。
スター・ルビーやスター・サファイアの本体はアルミナです。このアルミナに不純物としてクロムが含まれるとルビーになります。鉄とチタンが含まれるとブルー・サファイアになります。同時にチタンが一定量に含まれるとルチルの結晶が生成します。
チタンが含まれる量が少ないと、ルチルの結晶がまばらに分布することになります。この状態でははっきりした光条が現れません。一定量のチタンが含まれると、ルチルの結晶が密に分布し、その結果として明瞭な光条が現れます。
光条が1本の場合はキャッツ・アイとなります。光条が複数本以上の場合はスターとなります。

エピ・アステリズムとダイ・アステリズム

スター・ストーン、例えばスター・ルビーに上からペンライトを当てると、スターがより浮かび上がります。このように上からの光でスターがよりはっきりと見られる場合はエピ・アステリズムと呼ばれています。「エピ」は「外から」という意味です。
ところが、スター・ローズ・クォーツにおいては下からペンライトを当ててスターを観察すると、よりはっきりと見られます。このような場合はダイ・アステリズムと呼ばれています。「ダイア」は「~を通して」という意味です。

三方向インクルージョン

スター・ルビーやスター・サファイアでは6本のスターが見られます。これはインクルージョンが三方向に分布していることを意味しています。
スターが発現する理由は、しばしば「天使の輪」を引用して説明されます。整えられた頭髪には白い帯状の輪が見られます。これが天使の輪です。天使の輪が現れるには、髪の毛がたくさん平行に並んでいることが必要です。もうひとつ曲面になっていることが必要です。頭の形状は曲面ですから、必要条件に合います。
髪の毛をインクルージョンに置き換え、頭の形状をカボッション・カットに置き換えると、1本の光条が現れ、キャッツ・アイとなります。
一方向のみにインクルージョンが平行にたくさん分布している場合はキャッツ・アイになります。スター・ルビーやスター・サファイアでは、インクルージョンが三方向に分布することが知られています。
光条はインクルージョンの伸長方向に対して直角に現れます。ですから、三方向のインクルージョンに対してそれぞれ3本の光条が現れることになります。光条の中心部から見ると、6本スターになります。

合成スター・ルビーと合成スター・サファイア

天然スター・ルビーや天然スター・サファイアは希少性に富む宝石です。ですから、合成ルビーや合成サファイアの製造に成功すると、直ぐにスターを示す石の製造に挑戦しました。そして合成に成功しました。原材料にチタンをより多く含有させ、高温度に保持すると、ルチル結晶が成長します。非常に細い小さな結晶が三方向に分布するように生まれます。
比較的安価に大量生産できることから、合成スター・ルビーや合成スター・サファイアは手頃な価格で流通しています。これらのスター・ストーンは外形に特徴があります。
シングル・カボッションと呼ばれる形状をしていることです。シングル・カボッションとは、上部のみが山形であり、下部は平らな面です。一方、天然スター・ストーンはダブル・カボッション(上下とも山形)です。外観形状の違いは明白です。希に合成スター・ストーンにもダブル・カボッションのカット形状があります。

多光源と単光源

スター効果の発現には光源にも大きな影響を受けます。広い部屋や会議室の天井にはいくつもの蛍光灯があります。複数の蛍光灯がある場合は多光源となります。スター・ストーンは、多光源の下ではスターあるいは光条がはっきりと出ません。
一方、ペンライトを使う場合は単光源になります。スター・ストーンにペンライトを当てると、スターがより引き立ちます。
ビジネスにおいて、営業員の方は常にペンライトをすぐ横に常備していますので、顧客にスター・ストーンを説明するときはペンライトを当てます。ペンライトを使うと、単光源となり、さらにスター・ストーンに接近させますので光が強くなり、スターがよりはっきりと浮かび上がり、演出効果が向上します。