1.外観特徴

鮮やかな濃い紫色と白っぽい淡い紫色が流紋状に入り混じった模様が見られる不透明な石です。二つの色の絵の具をかき混ぜたときにできる模様に似ています。
1949年にロシア(シベリア地域)で鉄道用のトンネルを建設しているときに発見されました。発見された当初は人工的に紫色に着色された石と思われていました。
その後、ロシアの鉱物学者がこの石の性質を調査し、1978年に新種の石であると認められました。

2.美しさの理由

濃い紫色と淡い紫色が流紋状または渦巻き状に混じり合って、芸術作品のように見える魅力があります。個々の石ごとに外観が異なります。外観が異なりますので、それぞれの石が世界でひとつの石といえます。
美しい紫色は微量に含まれているマンガンによる発色と考えられています。

3.耐久性

モース硬度は4.5~5です。宝石に必要な硬度は7以上が目安ですから、チャロアイトは低硬度であり、耐久性は低いといえます。低硬度の石はリング(指輪)に不向きです。しかし、日常的に加傷されても、不透明石ですからスリ傷が目立つわけではありません。リングに使用する場合は、貴金属で石を保護するデザイン処理が望ましいです。

4.原石形状

平らな結晶面を持たない塊状で産出します。

5.鑑別

濃い紫色と淡い紫色が流紋状(スワール)に混じり合うような天然石は他にありません。模造石としてガラス製のマーブルが挙げられます。ガラスはしばしば泡を伴いますので、識別ができます。

6.その他

(1)化学組成:K5Ca8Si18O46(OH)3(H2O)
(2)産出国 :ロシア(1ヵ国のみ)。
(3)日本名(和名):チャロアイト石。
(4)備考:チャロアイトは産出地の近くを流れる川の名前に由来すると推測されていますが、ロシア語の「chary」(魅力)に由来するという説が有力です。

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